ポリオの患者の方、情報交換しませんか? 竹中 幸彦
私は、昭和38年生まれの53歳です。昭和39年にポリオワクチンを接種して、直後にポリオを発症し、今も右足に障害が残っていて、右下肢に装具を装着して両手杖で生活をしています。
予防接種の後遺症は、右足だけで幸いにも通常の生活が出来たため、現在も働いています。50歳前後から、体の疲れや冷えや健康であったと思っていた左足の筋力の衰えを感じるようになり、ポストポリオであると診断され、専門でみてもらえる大学病院で、年に4回ほどポストポリオの経過観察をしてもらっている状況です。今後の自分の生活について不安を抱えたまま日々の生活をおくっています。
これまで、自分の生活や仕事の事で、精一杯で、自分の障害の事について正面から向き合うことを避けてきた私ですが、予防接種法のことやポリオの事を勉強したり考えたりする機会が増えるたびに、ポリオの被害にあわれた方々と情報交換や情報共有がしたいと強く想うようになりました。
行政からの情報を待つだけでなく、自分たちが得た知識について広く情報交換することが、私たちには必要な事だと考えています。
具体的に、どのような事について情報交換を考えているといいますと。
第一に病院や医師や薬についてです。
ポリオの患者を診られたことがない医者が増えています。私たちが被害をうけたポリオのワクチンで、ポリオの患者は飛躍的に減少し、国もポリオ根絶宣言をだしている状況ですので、ポリオの事を知っている医者も少なくなり、適切な医療を受けられる可能性も低くもなくなっています。現時点で、ポリオの患者の平均年齢は、65歳を超えていると聞いたことがあります。
ワクチン接種が始まった昭和36年以降の患者は、全国で100名程度と聞いています。医師がポリオやポストポリオの事を知っていないことがあっても、しかたがないことかもしれません。中には、ポストポリオで筋力の衰えた足に対して、ロコモ予防といって筋トレを勧める医師もありますし、ポリオの患者には避けたほうがいい薬を処方してしまう事もあるかもしれません。
このような事について、情報交換ができるといいと思っています。
第二に、予防接種法やその他の制度の受給についてです。
私は、予防接種法による障害手当は受給していましたが、国民年金法による障害基礎年金は、受給していませんでした。知らなかったためです。予防接種で障害を受けた当時に両親が、いろいろな制度について説明を受けたのかもしれませんが、パニックで、行政不信になっていたらば耳にも入ってきませんですね。このため、私が障害者手帳をもらったのも12歳のときですし、障害基礎年金については、0歳で障害を負ったにもかかわらず、50歳過ぎで受給することになりました。
これは、私だけでなく、他の被害者の方々も同じように手続き漏れがあるのではないかと心配することになりました。
また、予防接種法による救済制度には、認定疾病の医療費請求方法だけでなく、療養手当、在宅・入院による看護料の請求、移送料の請求や判断基準(支給事例)や葬祭料の請求方法など、請求できうる費用についても患者や家族が負担しているのではないかと考えています。
これらの既存の制度を有効に活用する知識を普及する事も必要なことだと思います。
制度をきちんと理解していれば、医療にまつわる自己負担額も軽減できますし、その他の障害基礎年金・障害厚生(共済)年金などの救済制度についても情報を共有できればと思っています。
最後に、現在の知識の継承です。
現在は、私はポストポリオの情報を得るために、患者会に所属しています。
患者会では、
・ 患者相互の意見交換会や懇親会
・ 社会保障制度の研究や助言
・ 装具の懇談会、車椅子等の体験会
・ ポリオ専門医の紹介やポストポリオの検診会
など、をおこなっています。私たちがポリオの患者が知って多くべき知識が患者会には多数あります。
実際にポリオになられた方々のご苦労などの経験や知識を受け継ぎ、自分の症状をできるだけ軽減するとともに、この知識を若い世代の人たちにも確実に伝えることが必要となるのですが、若い人が不足しており、せっかくの知見もこのまま失われていくことも危惧されています。これらの知識の継承も私たちの課題ではないでしょうか?
ワクチン接種でのポリオになった人々に対しても、できるだけ連絡体制がとれ、相互のアドバイスや情報交換ができないかと思います。
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